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Right Isosceles Triangles with a Point at integer distance from each vertex


[2004.06.29]3頂点から整数距離にある点を内部に持つ直角二等辺三角形


■次の問題を考察する。

△ABCを等しい辺の長さが正整数sである直角二等辺三角形とする。
この△ABCの内部のある点Pに対して、PA=a, PB=b, PC=cが全て正整数となるような正整数sを求めよ。

■Euclid座標で、A(0,0),B(s,0),C(0,s),P(x,y)とすると、Pythagorasの定理より、
    x2+y2 = a2 ----- (1)
    (s-x)2+y2 = b2 ----- (2)
    x2+(s-y)2 = c2 ----- (3)
となる。
また、点Pは△ABCの内部にあるので、
    0 < x, 0 < y, x+y < s ----- (4)
である。Diophantus方程式系Sを<(1),(2),(3)>とする。
(1),(2),(3)より、
    x = (s2+a2-b2)/{2s}, ----- (5)
    y = (s2+a2-c2)/{2s} ---- (6)
を得る。
これより、x,yが有理数であることが分かる。
(5),(6)を(1)に代入して整理すると、
    (s2+a2-b2)2+(s2+a2-c2)2 = 4s2a2
    2(s4+a4)-2(s2+a2)(b2+c2)+b4+c4 = 0 ----- (7)
を得る。

よって、S=<(1),(2),(3)>=<(5),(6),(7)>であることが容易に分かる。

■最初に、s,a,b,cが正整数で、x,yが正有理数であるようなSの解を求める。
Sのprimitiveな解(s,x,y,a,b,c)で、x,yが正有理数であり、(4)を満たすものを、プログラムを作成して、いくつか求める。

ここで、Sの解(s,x,y,a,b,c)[ただし、s,a,b,c:正整数, x,y:正有理数]がprimitiveであるとは、gcd(s,a,b,c)=1であることとする。

[pari/gp(gp2c-run)による計算]
gp> find3(2,1000)
[116, 945/29, 900/29, 45, 91, 89]
[140, 396/5, 297/5, 99, 113, 85]
[195, 140, 48, 148, 203, 73]
[195, 9588/65, 784/65, 148, 235, 49]
[296, 1155/37, 396/37, 33, 287, 265]
[325, 12768/65, 7524/65, 228, 287, 173]
[533, 11220/41, 5040/41, 300, 493, 287]
[740, 315, 168, 357, 653, 457]
[884, 7524/13, 3135/13, 627, 865, 389]
gp>  quit
Good bye!
bash-2.03$ 

これにより、x,yが正有理数である場合のsの最小解は、116であることが確認できた。

■次に、x,yが正整数であるようなSの解を求める。
つまり、Sのprimitiveな正整数解(s,x,y,a,b,c)で、(4)を満たすものをいくつか求める。

(7)より、b,cは奇数であり、s+a≡1(mod 2)であることが分かる。

[pari/gp(gp2c-run)による計算]
gp>  find(2,1000)
[195, 140, 48, 148, 203, 73]
[740, 315, 168, 357, 653, 457]
gp>  quit
Good bye!
bash-2.03$ 

[Cによる計算]
bash-2.03$ gcc -m486 -O2 -lm risosceles.c -o risosceles
bash-2.03$ ./risosceles 2 1000
[195,140,48,148,203,73]
[740,315,168,357,653,457]
bash-2.03$ 

これにより、x,yが正整数である場合のsの最小解は、195であることが確認できた。

また、Sのprimitiveな整数解(s,a,b,c)で、x,yが正整数であり、x+y < s, y < x, s < 32768を満たすものを求めると、以下のように、12個の解が見つかった。

No. s x y a b c
1 195 140 48 148 203 73
2 740 315 168 357 653 457
3 6240 3080 711 3161 6329 3239
4 9165 5952 1540 6148 9673 3563
5 10879 6864 1152 6960 11905 4177
6 11184 3465 880 3575 10871 7769
7 13156 6837 1440 6987 13565 6481
8 14355 8036 1440 8164 15211 6481
9 20988 8619 8008 11765 15581 14735
10 21320 11025 7992 13617 17297 13033
11 30195 6080 4956 7844 25961 24619
12 31955 21840 7956 23244 32449 12869

■予想1

Diophantus方程式
    2(s4+a4)-2(s2+a2)(b2+c2)+b4+c4 = 0
のprimitiveな正整数解(s,a,b,c)ば、無数に存在するだろう。

■予想2

Diophantus方程式系S
    x2+y2 = a2,
    (s-x)2+y2 = b2,
    x2+(s-y)2 = c2
のprimitiveな正整数解(s,x,y,a,b,c)で、x+y < s. y < xを満たすものば、無数に存在するだろう。

■問題1

Diophantus方程式
    2(s4+a4)-2(s2+a2)(b2+c2)+b4+c4 = 0
の全部または一部の解[s:a:b:c]をパラメータ表示することはできるだろうか?

■問題2

Diophantus方程式系S
    x2+y2 = a2,
    (s-x)2+y2 = b2,
    x2+(s-y)2 = c2
の全部または一部の解[s:x:y:a:b:c]をパラメータ表示することはできるだろうか?

[2004.09.03追記]
A.J.MacLeod[2]によると、この問題をある楕円曲線の有理点を求める問題に帰着して、Diophantus方程式系Sの2変数m,nによるパラメータ解を2組与えている。


[参考文献]


Last Update: 2005.06.12
H.Nakao

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