Homeに戻る  一覧に戻る 

Rational Points on Elliptic Curve: x^3+y^3=657


[2001.05.01]x^3+y^3=657の有理点


Diophantus方程式
     x3+y3=657 ----------------------------- (1)
で定義される楕円曲線、つまり、同次化した
     x3+y3=657z3 ----------------------------- (2)
で定義される楕円曲線の有理点について考察する。657=32*73である。

■楕円曲線(1)は、2つの整点(-7,10),(10,-7)を持つ。
(1)でx,yを有理整数とすると、
     max{|y|,|x|} <= 2*\sqrt(657/3)=29.5972971...
を得るので、有限の組合せを調べて、(1)の整点は(-7,10),(10,-7)の2個であることがすぐに分かる。

■楕円曲線(1)の有理点のrankは、3であることが既に分かっているので、有理点を求めてみよう。これは、射影平面P2上の楕円曲線(2)の有理点[x:y:z]を求めることと同値である。
また、楕円曲線(1)を以下の双有理変換\phiによって、Weierstrass標準形に変形する。
有理変換\phi:(x,y)--->(X,Y)を
     X={12*657}/{x+y}
     Y={36*657*(x-y)}/{x+y}
で定義すると、
     x={36*657+Y}/{6X}
     y={36*657-Y}/{6X}
となり、\phi-1も有理変換であり、楕円曲線(1)は、
     Y2=X3-432*6572 ------------------------- (3)
と有理同値になる。これを同次化すると、
     Y2Z=X3-432*6572Z3 ------------------------- (4)
となる。

Common Lispプログラムにより、楕円曲線(4)の有理点について、x,yを有理整数として、0<|x|<=y<=100000までを調べると、このようになる。
ここで、楕円曲線(2)上の有理点P[x:y:z]に対して、-P[y:x:z]も楕円曲線(2)上の有理点である。また、楕円曲線(4)上の有理点Q[X:Y:Z]に対して、-Q[X:-Y:Z]も楕円曲線(4)上の有理点である。
よって、以下の表には、(1)または(4)の有理点の半分を記述している。

F:x3+y3=657z3 in P2
   [x:y:z]=phi-1([XZ:Y:Z3])
C:Y2Z=X3-432*6572Z3 in P2
   [XZ:Y:Z3]=phi([x:y:z])
F':x3+y3=657 in A2∪{O}
   (x/z,y/z) if z≠0, O if z=0
C':Y2=X3-432*6572 in A2∪{O}
   (X/Z2,Y/Z3) if Z≠0, O if Z=0
x y z 備考 X Y Z 備考
-1 1 0 OF(無限遠点) 0 1 0 OC(無限遠点)
-7 10 1 整点 -P1-P2 2628 -134028 1 整点 Q1+Q2
7 17 2 P1 657 -9855 1 整点 -Q1
56 163 19 P2 684 -11556 1 整点 -Q2
-116 197 21 2P1+P2 2044 -91396 1 整点 -2Q1-Q2
-2890 2971 147 P3 14308 -1711412 1 整点 -Q3
-3220 3439 223 -P1-P2-P3 8028 -719172 1 整点 Q1+Q2+Q3
-119 4112 473 P1-P3 113004 -33357204 11 -Q1+Q3
3574 3017 481 -P2+P3 97236 4391388 13 Q2-Q3
11599 3140 1343 -2P1-2P2 207612 -66690756 17 2Q1+2Q2
-71183 95183 9140 -2P1 300249 -163953693 10 2Q1
-106777 165826 17199 P1+2P2 186004 79600076 9 -Q1-2Q2
... ... ... ... ... ... ... ...

■楕円曲線(1)および楕円曲線(3)の有理点の成す群は、rank 3のAbel群Z3に同型である。
(1)の有理点は
     P1(7/2,17/2),P2(56/19,163/19),P3(-2890/147,2971/147)
で生成され、(3)の有理点は
     Q1(657,9855),Q2(684,11556),Q3(14308,1711412)
で生成される。つまり、(1)の有理点は、
     k(7/2,17/2)+m(56/19,163/19)+n(-2890/147,2971/147) ただし、k,m,nは有理整数
である。同様に、(3)の有理点は、
     k(657,9855)+m(684,11556)+n(14308,1711412) ただし、k,m,nは有理整数
である。
GNU Common LISPで|k|,|m|,|n|<=5を満たす(1)および(3)の有理点を計算すると、このようになる。


[参考文献]


Last Update: 2005.08.21
H.Nakao

Homeに戻る[Homeに戻る]  一覧に戻る[一覧に戻る]