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Rational Points on Elliptic Curve: x^3+y^3=19


[2001.04.29]x^3+y^3=19の有理点


Diophantus方程式
     x3+y3=19 ----------------------------- (1)
で定義される楕円曲線、つまり、同次化した
     x3+y3=19z3 ----------------------------- (2)
で定義される楕円曲線の有理点について考察する。19は素数である。

■楕円曲線(1)は、2つの整点(-2,3),(3,-2)を持つ。
(1)でx,yを有理整数とすると、
     max{|y|,|x|} <= 2*\sqrt(19/3)=5.033222...
を得るので、有限の組合せを調べて、(1)の整点は(-2,3),(3,-2)の2個であることがすぐに分かる。

■楕円曲線(1)の有理点のrankは、2であることが既に分かっているので、有理点を求めてみょう。これは、射影平面P2上の楕円曲線(2)の有理点[x:y:z]を求めることと同値である。
また、楕円曲線(1)を以下の双有理変換\phiによって、Weierstrass標準形に変形する。
有理変換\phi:(x,y)--->(X,Y)を
     X={12*19}/{x+y}
     Y={36*19*(x-y)}/{x+y}
で定義すると、
     x={36*19+Y}/{6X}
     y={36*19-Y}/{6X}
となり、\phi-1も有理変換であり、楕円曲線(1)は、
     Y2=X3-432*192 ------------------------- (3)
と有理同値になる。これを同次化すると、
     Y2Z=X3-432*192Z3 ------------------------- (4)
となる。

Common Lispプログラムにより、楕円曲線(4)の有理点について、x,yを有理整数として、0<|x|<=y<=100000までを調べると、このようになる。
ここで、楕円曲線(2)上の有理点P[x:y:z]に対して、-P[y:x:z]も楕円曲線(2)上の有理点である。また、楕円曲線(4)上の有理点Q[X:Y:Z]に対して、-Q[X:-Y:Z]も楕円曲線(4)上の有理点である。
よって、以下の表には、(1)または(4)の有理点の半分を記述している。

F:x3+y3=19z3 in P2
   [x:y:z]=phi-1([XZ:Y:Z3])
C:Y2Z=X3-432*192Z3 in P2
   [XZ:Y:Z3]=phi([x:y:z])
F':x3+y3=19 in A2∪{O}
   (x/z,y/z) if z≠0, O if z=0
C':Y2=X3-432*192 in A2∪{O}
   (X/Z2,Y/Z3) if Z≠0, O if Z=0
x y z 備考 X Y Z 備考
-1 1 0 OF(無限遠点) 0 1 0 OC(無限遠点)
-2 3 1 整点 -P1-P2 228 -3420 1 整点 Q1+Q2
3 5 2 P1 57 -171 1 整点 -Q1
1 8 3 P2 76 -532 1 整点 -Q2
-17 36 13 2P1+P2 156 -1908 1 整点 -2Q1-Q2
-90 109 31 P1+2P2 372 -7164 1 整点 -Q1-2Q2
33 92 35 -2P1-2P2 1596 -40356 5 2Q1+2Q2
-594 613 103 P1-P2 1236 -43452 1 整点 -Q1+Q2
-831 895 196 -2P1 2793 -147573 2 2Q1
-2386 2395 201 3P1+2P2 5092 -363356 1 整点 -3Q1-2Q2
-15537 15601 1348 -2P1-3P2 19209 -2662299 2 2Q1+3Q2
-1025 4112 1533 -2P2 5548 -390412 7 2Q2
-1322 13301 4983 -3P1-P2 11476 -1111348 11 3Q1+Q2
9613 27323 10386 3P1+3P2 577 -8855 3 -3Q1-3Q2
... ... ... ... ... ... ... ...

■楕円曲線(1)および楕円曲線(3)の有理点の成す群は、rank 2のAbel群Z2に同型である。
(1)の有理点は
     P1(3/2,5/2),P2(1/3,8/3)
で生成され、(3)の有理点は
     Q1(57,171),Q2(76,532)
で生成される。つまり、(1)の有理点は、
     m(3/2,5/2)+n(1/3,8/3) ただし、m,nは有理整数
である。同様に、(3)の有理点は、
     m(57,171)+n(76,532) ただし、m,nは有理整数
である。
GNU Common LISPで|m|,|n|<=5を満たす(1)および(3)の有理点を計算すると、このようになる。


[参考文献]


Last Update: 2005.08.21
H.Nakao

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