Rational Points on Genus 2 Curve: y^2=278271081x^2(x^2-9)^2-229833600(x^2-1)^2 (part II)
[2005.07.18]y^2=278271081x^2(x^2-9)^2-229833600(x^2-1)^2の有理点 (2)
■参考文献[3](p153, (13.2.28), ただし、2個目の生成元のy座標の係数8が抜けていることに注意する)によると、genus 2の超楕円曲線
C2: y2 = 278271081x2(x2-9)2-229833600(x2-1)2
は、位数12の自己同型群 G = Aut(C2(Q))を持ち、それは、以下の3つの元
φ1: (x,y)→(-x,y),
φ2: (x,y)→((x+3)/(x-1),8*y/(x-1)3),
φ3: (x,y)→(x,-y)
で生成される。
[証明]
Aut(C2(Q))=Gであることは、Keller, Kulesz(1995)によって、証明済みらしい(未確認)が、ここではφ1,φ2,φ3で生成される群
G = < φ1,φ2,φ3 >
が位数12の有限群であることだけを証明する。
写像φ1,φ2,φ3によって、C2の有理点がC2の有理点に写されることは容易に分かる。
φ1,φ2,φ3はいずれも位数2の元である。
また、簡単な計算により、生成元φ1,φ2,φ3に関して、以下のような等式が成立する。
ただし、1はGの単位元, [a,b] = a-1b-1abはa,bの交換子である。
(φ1)2=1
(φ2)2=1
(φ3)3=1
[φ1,φ3]=1
[φ2,φ3]=1
(φ1φ3)2=1
(φ2φ3)2=1
(φ1φ2)3=1
Gの元を計算すると、φ1,φ2,φ3および単位元1: (x,y)→(x,y)に加えて、以下の8個の元が求まる。
φ1φ3: (x,y)→(-x,-y),
φ1φ2: (x,y)→(-(x+3)/(x-1).8*y/{(x-1)3}),
φ3φ1φ2: (x,y)→(-(x+3)/(x-1).-8*y/{(x-1)3}),
φ2φ3: (x,y)→((x+3)/(x-1).-8*y/{(x-1)3}),
φ2φ3φ1: (x,y)→((x-3)/(x+1).8*y/{(x+1)3}),
(φ1φ2)2: (x,y)→((x-3)/(x+1).-8*y/{(x+1)3}),
φ2φ1: (x,y)→((x-3)/(x+1).-8*y/{(x+1)3}),
φ2φ1φ2: (x,y)→(-(x-3)/(x+1).-8*y/{(x+1)3})
これら12個の元から成る集合をH ⊂ Gとする。Hから任意に1つの元ψを取ると、各生成元φi(i=1,2,3)に対して、
ψφi ∈ H,
φiψ ∈ H
を満たすので、集合Hは関数合成の演算に対して閉じていることが分かる。
Hの関数合成の演算は結合則を満たし、単位元1 ∈ Hを持つ。
各生成元φi(i=1,2,3)の逆元は、φi自身である。
よって、Hの任意の元
ψ = φi_1φi_2...φi_n
(ただし、i_1, i_2, ..., i_n ∈ {1,2,3})の逆元は、
ψ-1 = φi_n-1...φi_2-1φi_1-1 = φi_n...φi_2φi_1 ∈ H
である。
よって、Hは群であるので、群Gの部分群である。さらにHは群Gの生成元を全て含むので、群Hは群Gに一致し、群Gは位数12の有限群であることが簡単に分かる。
次に、群Gの基本関係式を求める。
GAP 4(Version 4.4.5)により、群Gを部分群として含む群
W = < φ1,φ2,φ3 | (φ1)2=(φ2)2=(φ3)2=(φ1φ3)2=(φ2φ3)2=(φ1φ2)3=1 >
の位数を計算すると#W=12となり、G=Wであることが分かる。
よって、群Gの基本関係式は、
(φ1)2=(φ2)2=(φ3)2=(φ1φ3)2=(φ2φ3)2=(φ1φ2)3=1
である。
[pari/gpによる計算]
gp> read("kk2.gp")
time = 41 ms.
gp> f1(f1([x,y]))
time = 3 ms.
%1 = [x, y]
gp> f2(f2([x,y]))
time = 27 ms.
%2 = [x, y]
gp> f3(f3([x,y]))
time = 0 ms.
%3 = [x, y]
gp> f1(f3(f1(f3([x,y]))))
time = 1 ms.
%4 = [x, y]
gp> f2(f3(f2(f3([x,y]))))
time = 7 ms.
%5 = [x, y]
gp> f1(f2(f1(f2(f1(f2([x,y]))))))
time = 30 ms.
%6 = [-x/-1, -y/-1]
gp> c2(x,y)
time = 0 ms.
%7 = 278271081*x^6 - 5238713058*x^4 + 22999624761*x^2 + (-y^2 - 229833600)
gp> c2((x+3)/(x-1),8*y/(x-1)^3)*(x-1)^6/64
time = 52 ms.
%8 = 278271081*x^6 - 5238713058*x^4 + 22999624761*x^2 + (-y^2 - 229833600)
[gapによる計算]
gap> f:=FreeGroup(3,"f");
<free group on the generators [ f1, f2, f3 ]>
gap> w:=f/[f.1^2,f.2^2,f.3^2,(f.3*f.1)^2,(f.3*f.2)^2,(f.1*f.2)^3];
<fp group on the generators [ f1, f2, f3 ]>
gap> Size(w);
12
gap> IdSmallGroup(w);
[ 12, 4 ]
gap> SmallGroup(12,4);
<pc group of size 12 with 3 generators>
■既に、ratpoints-1.4.cを使って、C2の有理点を580個求めたが、580はC2の自己同型群Gの位数12の倍数でない(49*12=588)ので、これら以外に少なくとも8個の有理点が存在することが分かる。
C2の580個の有理点をそれぞれ自己同型群Gの元で写してみると、新しい有理点として、以下の8個が見つかった。
[-541580/1222133, 10608541449092618538300/165944448469656967]
[-541580/1222133, -10608541449092618538300/165944448469656967]
[541580/1222133, -10608541449092618538300/165944448469656967]
[541580/1222133, 10608541449092618538300/165944448469656967]
[-3124819/1763713, 933551647520150431370400/5486353009617108097]
[-3124819/1763713, -933551647520150431370400/5486353009617108097]
[3124819/1763713, 933551647520150431370400/5486353009617108097]
[3124819/1763713, -933551647520150431370400/5486353009617108097]
これで、以前の結果と合わせると、genus 2の超楕円曲線
C2: y2 = 278271081x2(x2-9)2-229833600(x2-1)2
は、588個以上の有理点を持つことが確認できた。
[pari/gpによる計算]
gp> read("kk2.gp")
time = 11 ms.
gp> check(c2x)
3124819/1763713
541580/1222133
time = 80 ms.
gp> f2([4207979/680553, 311183882506716810456800/105066581873157459])
time = 1 ms.
%2 = [3124819/1763713, 933551647520150431370400/5486353009617108097]
gp> f2(f1([4207979/680553,311183882506716810456800/105066581873157459]))
time = 0 ms.
%3 = [541580/1222133, -10608541449092618538300/165944448469656967]
[参考文献]
- [1]Alice Silverberg, "Open Questions in Arithmetic Algebraic Geometry", pp84-142 :
Brain Conrad, Karl Rubin(Ed), "Arithmetic Algebraic Geometry", American Mathematical Society, Ω IAS/PARK CITY Mathematics Series Volume 9, 2001, ISBN0-8218-2173-3.
- [2]Bjorn Poonen, "Computaional aspect of curves of genus at least 2", April 10, 1996, p1-21.
- [3]J. W. S. Cassels, E. V. Flynn, "Prolegomena to a Middlebrow Arithmetic of Curves of Genus 2", LMSLNS 230, Cambrdge University Press, 2005, ISBN0-521-48370-0.
Last Update: 2016.10.15 |
H.Nakao |