JANT研究部会に行く[2006.03.05]
今回のJANT研究部会は、日本応用数理学会研究部会連合発表会の一セッションとして、早稲田大学大久保キャンパスで開催された。
筆者は日本応用数理学会員ではないので、参加費1000円を自費で負担して参加した。
興味があった講演は、東京理科大)後藤丈志氏の「完全数と調和数の最大素因子について」である。
直前にNumber Theory MLの本人からの投稿記事で、結果(奇数の完全数の最大素因子は10^8より大きい)とpreprintの紹介記事があったので、これを印刷して持参した。
奇数の完全数は見つかっていないが、(abc予想などとの関連から)存在しないと予想されている。
奇数の完全数が存在するかどうかは、有名な未解決問題である。
文献[3]によると、奇数の完全数
n=Πi=1ν(pi)ei (ただし、pi:互いに異なる素数)
については、いくつか分かっていることがある。
- [Euler] n = pαm2, p:素数, p≡α≡1(mod 4)
- [Brent, Cohen & Riele] n > 10300
- [Iannucci & Sorli] Ω(n)=Σi=1ν(ei) >= 37
今回の結果は、円分数の良く知られている性質を適用して、Hagis & Cohenの方法を約100倍に高速化したものである。
しかし、後藤&大野の方法を使っても、CPU10個で延べ26000時間もかかるので、検証するのも簡単ではない。
この結果を改良するには、さらなるアルゴリズムの改良が必要であると思う。
参考文献
- [1]Takeshi Goto, Yasuo Ohno, "Odd perfect numbers have a prime factor exceeding 10^8", 2006, preprint.
- [2]Paul M.Jenkins, "Odd perfect numbers have a prime factor exceeding 10^7", Sep., 2000, p1-50.
- [3]Richard K. Guy, "Unsolved Problems in Number Theory Third Edtion", Springer-Verlag, 2004, D11, p252-262, ISBN0-387-2060-7.
Last Update: 2006.03.24 |
H.Nakao |