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Kaiseki Gairon


解析概論[2001.07.15]


小学校の時に数学に興味を持ったきっかけは、親戚から贈られた1冊だけ(全部で10冊ほどあるらしい)の百科事典に載っていた正五角形(1辺を与えた場合、与えられた円に内接する場合)の作図方法であった。 内接正五角形の作図は理論上正確な方法のはずだが、作図の精度が悪いと、誤差が積もって正五角形にならないこともあった。 もちろん、今なら、なぜその作図方法が正しいのかを説明できるし、他に正17(=2^(2^2)+1)角形、正257(=2^(2^3)+1)角形、正65537(=2^(2^4)+1)角形の作図も可能であることを理解できる。

中学校の時は、微積分学に興味を持ち、啓蒙書や入門書を少し読んだ。

高等学校では、学校の図書館にあったCantorの超限集合論(正確な書名は忘れたが、Webで調べてみると、どうも参考文献[2]のようだ)やCoxetorの幾何学入門を読んで、数学の世界の一端を覗くことができた。 当然、だれも教えてくれるわけはなく、身近に同じ興味を持つ友人もいなかったので、すぐに理解できるはずもなく、同じ本を何回も借りて、面白そうな部分(濃度計算や正多胞体など)を繰り返し読んだ。 当時の数学教師(担任でもあった)の勧めで、"解析概論"を乏しい小遣いから捻出して購入し、興味深く読んだ。 数学は、教えてもらうものではなく、自分で勉強するものだという意識が染み着いた時期でもあった。 高校数学では、論証に厳密さが不足している(諸公理も明示しないので、やむを得ない面はあるが)点と試験のように短時間で正確な答えを出すことを要求されることが気に入らなかった。 実際に、計算ミスで満点を取り損なって悔しい思いをしたことが何度もあった。 大学受験では、共通一時試験という今から考えると極悪なものが始まった年でもあった。 どちらかというと、やや難しい問題を、ああでもないこうでもないと、時間をかけてじっくり考えることが好きだった。 当時は、高木貞治の専門が代数学(類体論の研究で有名)とは知らなかった。 しかし、高等学校での経験は大学の数学科に進学してからも、高校の数学と大学の数学のGapにつまずくことがなかった点でも役に立ったと思う。

大学に入学したらしたで、それなりに多忙で、解析概論をじっくり読むことはなかった。 今、解析概論を読み返してみても、その題材の選択と必要にして十分な説明/図は素晴らしい。 数学の基礎を身につけることができれば、題材/文章の味わいがわかるようになると思う。 ふと見ると、p313(86.曲線の方程式[例2])に楕円曲線(曲線名の記述はない)の一例y^2-x^2(x+a)=0のグラフが載っていることに、今になって気づいた[遅いぞ]。当時は楕円曲線論の面白さを全く知らなかったので、それほど印象に残らなかったのだ。

[参考文献]


Last Update: 2005.06.12
H.Nakao

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