Easy Mathematics
数学をやさしく説明できるか[2004.09.12]
数学では、その分野の独自の用語と記号を使う。
これは、概念や定理を短く表現して、分かりやすく(使いやすく)するための工夫の1つである。
これを学ばないことには、専門書も論文も読むことができない。
しかし、その概念になじみのない人に説明するとなると、そこに至るまでの定義を延々と述べなくてはならず、聞く側の一次記憶容量の限界を超えてしまうことも多い。
もともと難しいものをやさしく説明することは難しいのである。
そこで、アナロジーを使って説明するのであるが、一部の性質が似ているからといって、他の全ての性質が同じであるとは限らない。
アナロジーは何かの結果を予想するには少し参考になるが、証明に直接結び付くとは限らない。
具体例を使って説明する方法も悪くはないが、良い例を見つけるのが難しいこともある。
多くの場合、教科書などに書いてある例を持ち出せば、うまくいくのであるが、その例を予め記憶しておく必要がある。
また、具体例から一般化することが難しいこともある。
問題が簡単に説明できる場合でも、その証明は難しい、あるいは未解決ということはよくあるが、その難しさを説明することが簡単ではない。
数学をやさしく説明することは、いつも可能であるとは限らないようだ。
Last Update: 2005.06.12 |
H.Nakao |